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ある大学院生の勉強:M1の10月 [雑記]

 一度社会に半歩踏み出したものの、なんのはずみか出戻りで院生をやることになりました。で、せっかくの体験なので何か記録に残しておきたいと、始めたつもりのシリーズ(になってないけど)。一ヶ月に一度くらい書けるといいなーと思っていたのが、気が付くと10月。早っ。
 そんなこんなで、やっていることは4月の時点とあまり変わりません。相変わらず日々アイデアを搾り取られ、搾取されてはまた考え考えひたすら考え、思わず寝込み、なんとかレジュメを完成させてはつかの間の喜びに浸り、発表した後は猛烈に一人反省会を開きつつ。進歩のない自分と未来にそびえる壁におびえながら、でも毎日楽しくてたまらない。そのような日々です。

 さて、夏休みも終わり、それなりに時間が経過したところで、大学院生の目から見た「自習型」「ゼミ型」「講義型」という3通りの勉強方法についてでも語ってみようかと思いました。同じ講義の時間でも、学部生だった頃とはだいぶ見え方が違っているので、そのようなところが面白いかなと。


1、自習型:一人で本や論文を読む
 もっとも効率がいいのではないかという勉強法です。他の勉強方法、例えばゼミだとか講義だとかを受けていると、「一人で本読めばこの半分、いや四分の一の時間で終わるよな」とかふと考えてしまったりします。
 しかし、この勉強方法には猛烈な罠があります。それはとにかく息詰まる。行き詰る。そして落ち込む。

 夏休み前に研究進捗報告を提出しながら、自分がいかに本筋の修士論文のための勉強をしていないか気付き、夏休みは本読むぞーとはりきったものの、実際にやってみるとかなり辛い毎日でした。
 最初のうちはいいんです。張り切って検索をかけ、本を選び、せっせとノルマをこなす猿のようにひたすらに文字を追います。知識を吸収することって楽しいとか思っています。が、そのうちにふと押し寄せる孤独。
 ただこれが孤独によるものだとは最初気付きません。思うのは、読んでも読んでも前に進まない感覚。そのうちに何か、どれもこれも書いてあること同じじゃん、いや、そんなはずない。などと自問自答を繰り返します。メガテン系(ウィザードリィ系)の3Dダンジョンで迷ったような状況です。同じような系統の本ばかり読んでいるから悪いのか?と検索ワードを代えて別方向に行ってみます。しかし今度は文字が頭に入らない。ちゃんと読んでいるはずなのに、手から砂がこぼれるように、文字だけが通り過ぎていく。きゃー。
 思わず息抜きにライトノベルに手を出し、すさまじい勢いで本の山を作ってはまた崩したりしていました。学術書読みモードの頭で一般書を読むと、滅茶苦茶早く読めます。ましてライトノベル。で、ちょっと気分が変わったところで、学術書に再挑戦。・・・これが進まねー。私の頭はカタツムリかってくらいに、読めません。自分のバカさに自己嫌悪。そしてスパイラル。

 思いますに、自習型の勉強というものはある程度の目標を持ってやらないと駄目です。何日までに発表があるとか、レポート提出とか、そんなのが一番いいです。
 あとは自分の内面と向き合いたい人などにはお勧めです。そのうち悟りが開ける日が来るかもしれません。ただし普通の人はその前におかしくなっちゃう確率も高し。・・・いや大学院生って結構精神バランス崩しちゃう人が多いので、そういう自己ケアも大切なスキルなんですよ。


2、ゼミ型:あるいは勉強会型、研究会型
 何人かで集まり、順番に自分の研究を発表。それに対して皆で質疑応答という形の勉強です。自分の番の発表など、何事もなくさっさと終わってくれーと思いつつ、皆が質問を出してくれないと寂しい。そのような人間のエゴと向き合えます。

 夏休み終盤に、教授の呼びかけで他大学の人と一緒に合宿があり、奈良の山の中に連れて行かれて昼の3時から夕食まで勉強会、夕食食べてお風呂入って、また夜の11時まで勉強会。さらに次の日は朝の9時から勉強会と、まさに合宿な合宿があったのですが、件の夏休み孤独の後だっただけに楽しくて仕方ありませんでした。
 思わず調子に乗って人の発表に対して発言しまくったりしたのですが、そういうのは後から自己嫌悪に陥ります。自分の番の発表など、夜の一番遅い時間だったにも関わらず、発表テーマ決めるのに2日間寝込み何とか掴んで資料集めしている最中にネットにつながらなくなり、かなり慌てたという経緯があったにも関わらず、調子に乗って喋りまくったという、(消したい)記憶があります。他の皆さんは、夜も遅いのにさっさと終われよこのやろーと思われていたに違いありません。スミマセンスミマセン。
 あともう一つ発見したこと。ラストの発表というものは、よくないです。何がよくないかというと、後がないだけにそのまま一人反省会になだれ込めてしまいます。合宿の夜ということでコンパが行われつつ、普段見られない人の面に接することが出来る貴重な機会だというのに、頭のどっかはどこか遠くに行って一人反省会。延々反省会。スパイラル(進歩がない)。
 まあそれはそれとして思ったことは、夜11時まで勉強していて次の日は7時起きだと分かっているにも関わらず、コンパにいそしみ、しかし徹夜する体力はもはやないので(院生は中途半端に歳くっています)、朝の4時に中途半端な理性を働かせて解散する皆さんの大人っぷりでした。

 考えますにゼミ型というのは研究における社交です。社交を馬鹿にしてはいけません。どこで何がつながるとも限らない。人に聞かせる発表をすることで、一人では気付けなかった点をいくらでも見つけることが出来ます。
 魚がたまに水面に顔を出すようなもので、やりすぎる必要はありませんが、たまには(できれば定期的に)やらないと息が詰まります。


3、講義型:つまり講義を受ける
 受けると注釈をつけておかないと、稀に講義をやる側の立場にならないとも限らないのが、院生の恐ろしいところです。ま、私には関係のない話ですが。・・・やる側だとゼミ型に分類されるかな。

 講義を受けるという形式は、ようするに学部時代に散々やったわけですが、院生になって思ったことは全然世の中が違って見えることです、本当に。自習型のところで能率を口にしましたが、この講義型というのも(実は)能率の点ではかなりのものです。その分野の一流の研究者が、一番おいしいところをつまんで、各自のパフォーマンス付きで教えてくれるのですよ。これは貴重ですよ。別に院に行かなくても、社会に出ると当たり前のことですが、人から物を教えてもらえる機会というのは貴重です。
 もちろん取捨選択で各自のバイアスがかかるのは避けられませんが、教師の人間性を見抜くというのは古来から生徒の得意技。どのようなバイアスがかかっているか、そしてそれは何故かまで分析して楽しむのが通。
 院生になって分かったのですが、講師のみなさんは折々に触れて研究の心得というものも話してくださります。こればっかりは学部の時は気が付かなかったなあと思いつつ、拝聴しています。

 というわけで、院に行ったからといって講義形式の授業とは縁遠くなったわけではなく、むしろ積極的に学部講義にまで潜り込んでいるのが現状です。私に限らず、大学院生の、単位ももらえないのに授業に出る積極さといったら・・・院にくるのはアブナイ人ばかりというのがよく分かります。
 ただしそんな講義型にも、唯一学部時代と変わらない罠が。それは眠気。つまり睡眠。どうして勉強をしていると、人は眠くなるのだろー。あれはすごいですよね、何がすごいって終鈴がなった途端に吹っ飛ぶ眠気の吹っ飛び具合がすごい。私としては、やはり1時間30分は長いよと思うわけです。特に最後の15分が鬼門です。そこまでいい感じに集中できても、がくっと寝る罠があります。
 しかも。大学院生は中途半端に教員のみなさんと顔見知り。「先生、違うんです。これは貴方の講義がつまらないからでは決してなく、ただ人として不可抗力の眠りに落ちいかんとしているだけなんです!」と心の中で叫びつつ、がっくり力尽きるときのあの気まずさ。


 かように大学院とは楽しいところです。おまえは遊びに行っているのかといわれたら、まあ遊びに行っているのかもしれないなーと思ってしまうほどに楽しいです。まあだからといって文系の院に行くことは、決してお勧めできない道なのですが・・・就職がな・・・(現実にかえった)。

 それはさておき、後期始めの研究進捗報告も終わり、がーっと振って湧いた仕事も多く、いろいろエンジンがかかってきたところです。全然勉強とは関係ないですが、もろにファミコン世代であり任天堂に忠誠を誓う者としては、12月2日の新型ゲーム機Wii発売を楽しみにしつつ、後期を乗り切っていこうかと思います。
 さて、無事に12月2日を迎えるまでには、合同ゼミでの30分の発表があり、300ページほどの本の要約提出があり、その他細かいレポート締め切りは数知れず。・・・。
 先生、なんだか私、猛烈な眠気が湧いてまいりました。


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SHO

お久しぶり SHOです

一時期凹んでいたのでAaさんのBLOG覗いていなかったんですが
いろいろ大変だったんですね

Aaさんのところで勉強させていただきました。
(「アルファブロガー」って言葉もココを通じて知りました 笑)

「ある大学院生の勉強」楽しく拝見しましたよ
読んでできればもう一回大学の講義を受けてみたい(他学科も…)
ポリクリをもう一度受けられるのなら真剣に臨みたい
後悔先に立たずです

Aaさんの日本語大切にする姿勢好きです
これからの書き込み楽しみにしていますね
無理せずに気楽にやってください
(といってもAaさんには無理でしょうか 笑)
by SHO (2006-10-19 21:56) 

Aa

こんにちは、SHOさん。お久しぶりです。
あはは、まあいろいろありましたね。反面教師でもなんでも、何らかの参考になれば幸いです。
おお、実習生というのは大変なものだと伺いますが、私の幼馴染も近年それで大変苦労しておりましたが、後々にはやはりそう思うものなのですか。
私も思い残すことなくいい思い出を作りたいと思います。(思うが多いよ)。
かように日本語へたくそですが、愛しているのは確かです。そう言っていただけるととても嬉しいです。ありがとうございます。
by Aa (2006-10-21 06:16) 

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