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「ローレライ」:冷静になれないこと [映画]

 公開前に何度も予告編を劇場で見ていて、ずいぶん宣伝に力入っているなーという印象を持つ一方、邦画の大作として、またある程度新しい角度(多少ドライで冷静な視点というか)で戦争を扱った邦画として成功して欲しいと勝手に思っていた作品です。
 とりあえず見た感想としては、小さな粗は沢山あるもののそれなりにまとめてきたという印象です。例えば、予告編でずいぶんと本編の見せ場使っちゃったんだなーと思う一方、だからといってストーリー全ての展開がバレバレってこともなく、「ああ、これはこうだったのか」という納得もあったりして、全体としてみれば悪くありませんでした。テンポがもの凄く速くて、物語がどんどん展開していくのでだれるということはまったくなかったです。
 (おそらく原作にはある)細かなエピソードがずいぶん端折られているようで、もっとサイドストーリーもしっかり見てみたかったと思いましたが、断片的に提示された情報からでも推測して考えられることは多く、よい方向に捉えれば密度が高いともいえるだろうと。泣きの要素もたっぷり入れつつ感情的になりすぎることもなく、注いだ力相応の作品に仕上がっている映画だと思います。

 あと、見ていて少し発見したことがあります。私は韓国映画では「シュリ」や「JSA」が好きなのですが、これはどちらも朝鮮半島の南北分断を背景にした映画で、良くも悪くも韓国の人にしか作れない、語れない作品なんだと素直に受けとめる一方、彼らはこの件に関しては冷静ではいられないんだなという皮肉な見方もしてしまうのです。が、しかし。私もこの「ローレライ」を見ていて原爆のシーンでは冷静ではいられなかったので、人のことは言えないよな、と。先述したようにドライなこの映画では、原爆もどちらかといえば記号的な扱いしかされていないんですけどね・・・。画面に文字が出る、それだけのことで何故か感情がひどく揺さぶられました。
 第二次世界大戦(あるいは太平洋戦争、または十五年戦争)全体に関しては自分の中でもまだ消化しきれない部分は多く、あまり容易に語ることは出来ないのですが、原爆に関してだけは「やっぱりあれはダメでしょ」と率直に思います。というか思いました、この映画を観て。・・・もっともアメリカ人にとってはそれが911であり、パールハーバーであったりするのかもしれません。難しいものです。でも、感情を押しつけられることが嫌いな私に、そんなことまで考えさせてくれたこの映画は、やっぱりよい作品だったんだと思いますよ。

公式サイト:http://www.507.jp/


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