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民主党ブロガー懇談会:食い下がりで見えた沢山のもの [ブロガー懇談会関連]

 「これで代表は次に会う人との時間がありますので・・・」と断った議員さんに対し、すかさずGrip Blogの泉さんが叫びます。「え、私それじゃ帰れない!」。
 その瞬間の前原代表の顔は見物でした(すみません)。「は」と固まってました。
 私が感じたことは2つ。泉さん本当に帰らないんだろうなってことと、今までも帰らなかったんだろうなってこと。・・・恐るべきジャーナリスト魂です。

 ともあれそういうわけで、ではあとちょっとだけってことになります。
 時刻はこの時点で19:30くらいだったかな。一応当初の予定どおりではありました。


  さて、その泉さんの質問です。(参照:泉さんご自身のエントリ
 ずばり「今後の民主党を考えていく上で、一番気になるのは小沢一郎さんの存在なんです。前原さんは小沢さんをどういう風に感じておられますか。「尊敬してます」とかはいりませんからっ」。うーん、乱暴ではあるけどすごい速球とか感心しつつ、ネットジャーナリズムを追求する泉さんの真髄を見せていただくことにします。

 それに対する前原代表の答えは「どうやって学ぶかという存在です」というもの。それから「民主党の中にも小沢さんファンというのはたくさんいます。中小企業の社長さんなんかでも好きな人は多いですから」。
 私的裏読みでいえば、小沢さん自身よりもその偶像に期待する人達が怖いのだ、と読みました。政治家にとってイメージって大切ではないですか。率直に言って私は今の小沢さんはどうも精気というか覇気に欠けているように思われます。しかし全盛期の小沢一郎の豪腕ぶりのイメージを、今でも捨てられない人は多いと思うのです。

 泉さんはそのあたりも突っ込んで行かれます。「10年前では小沢さんはすごかったと思いますが。今の時代には合っていないんじゃないかと」。でも民主党について「小沢さんの影」というものを一般国民はすごく感じている、と。
 前原代表はそれに対し、「小沢さんは今は政策決定や党の方針決定については何も関与していません。鳩山さん(幹事長)が相談している程度です」イメージ先行です、と答えます。

 私の裏読みと流れ的には合っているなと感じました。なので私個人は前原さんのこの発言は、わりと本当なのではないかと思っています。


 小飼さんも口を挟みます。このあたり、完全に前原代表を引き留めて掴まえてしまった状態。やはり泉さんはすごいです。
 ともあれ小飼さんの質問は「自民党は今回、これまでの経験を捨ててきた。民主党は何を捨てていくか?」。
 前原代表は、「代表になったのは会社の社長になったのと同じ事ですし、"思いきったことがやれなければなった意味がない"とずっと思っています。経験のある人の意見を聞くべき時は聞くし、違うと思えば自分の考えどおりやります」と。

 私はこの「思いきったことがやれなければなった意味がない」という言葉がとても頭に残りました。個人的には、このフレーズを聞くために今回来て良かったなと、それくらい印象に残りました。前原代表は物静かな方ですが、その静かな決意を見た思いがしました。

 松本政調会長も「私も政権交代をするために民主党に来た。まず野党第一党になるためには仲良しになることが必要だったが、今はもう仲良しを捨てる時に来ていると思う」と発言されます。
 これもなかなかに重い発言です。裏読みすれば、旧社会党系とか切る覚悟があるとも取れます。

 泉さんはあくまで小沢代表にこだわって、「前原代表の覚悟をお聴きしたい。小沢さんを切る覚悟がありますか」と尋ねられます。
 前原代表は「固有名詞が出ているので答えにくいと。しかし最終的には多数決で突っ走る」という形で答えられます。泉さんが「小沢さんを切れますか?」とさらに追求しますが、そこはさすがに明言はせず、ただ「切ることが覚悟ではないと思います。思いを遂げることが覚悟であると思います」と。

 このあたりも裏読みしがいのある発言だと思います。多数決を取れれば小沢さんを切れるとも読めるわけです。で、さっきの小沢さんファンは結構多いというのがここで効いてくるわけです。その一方で、前原代表はやはり「思いを遂げる」「やれなければ(代表に)なった意味がない」と肝に銘じていることが感じ取れます。


 ここで松永さんも質問を。内容についてはご自身のエントリに詳しいです。質問も答えも、テープ起こしされた発言がそのまま載っています。
 私的にまとめると、松永さんの質問は「民主党は寄せ集めの印象が強い。民主党って何なの? どこに走っていくの? というのが分かりにくい。例えばそれは小沢さんであったり旧社会党の人達であったりする。寄せ集め所帯という印象がどうしても強い。やっぱり分かりにくい」。

 これには大塚議員が答えられます。「もうそういう過去を引きずっている人は、数少なくなってきている。私自身2001年の当選(最初から民主党)ですから・・・」
 松永さんはそれに対して「そのあたりを上手く伝えて欲しい」と。

 前原代表は「小泉さんが自民党のイメージ(利益団体や族議員)を払拭した。それに対して改革するなら競争という形で協力もする、労組ともぶつかる覚悟がある」という発言を。
 さらに「小泉さんは最終的に何を目指すかというと「小さな政府を目指す」、マーケットメカニズムを徹底させる。しかし私(前原代表)は贅肉はとるが「小さな政府でなくてもいい」と思っている。マーケットメカニズムでは救えないところがる。それは例えば環境問題であったり、福祉であったりする。損得で人の命は成り立つのかという疑問がある。セーフティネット(最後の部分での安全保護策)は張っていきたい」
 つまり「金で全てのものごとをはかっていくのか」というのが最終的な違いになるでしょう、と。


 このあたり、外政ではタカ派、内政ではハト派と言われる前原代表の個性、また小泉自民党との違いが端的に表れたと思います。翌日の自民党懇談会でも「小さな政府」という言葉はしきりに使われていました。自民党は今回の選挙圧勝を「小さな政府路線」の支持であると捉えていると、何度も言われました。・・・私は、正直その部分にちょっと異論があるのですが、まあそれは自民の回で書くとして。
 今の自民党と民主党の最大の違いは「小さな政府・マーケットメカニズムの徹底」か「小さな政府でなくてもいい・もうちょっと弱者に優しい世界」を目指すのかという部分にあるのだろうと思います。

 それからもう一点。前原代表のパーソナリティ(人柄)も垣間見られたような気がします。このような推測はある意味失礼かとも思うのですが、前原代表は早くに父親を亡くされた経歴があります。その後京大に行き、松下政経塾に行き、まったく今までの政治ルートとは外れたところから政治家になりました。
 私が感じたのは、基本的に内向的な人間でいらっしゃるということ。それから自民党の議員さんに比べればずっと理想家肌。まあそれは甘いということと紙一重ではありますが、改革を行う人っていうのは理想を持っていないと出来ないです。私はそのあたりに、前原代表の可能性を感じるのです。
 一方で氏の持つ弱さは、例えば松本政調会長や同期組の枝野議員など、仲間グループによって守られることで、フォローされるのかなという感触がしました。民主党議員さんは、自民党議員さんに比べて、たぶんずっと仲間意識が強いと思います。各党討論会の時などにも感じたことなのですが。一体感がある。それはある種、学生のサークル活動にも似た仲間意識です。・・・まあこれは私の勘なのですが。勘といえどもあなどれない場合もあるので、書いてみておきます。


 小飼さんが手を挙げて、これが最後ですよと言われつつ質問。「じゃあその財源を示してください」と。一言でずばっと斬り込んでいかれました。
 前原代表はそれに対して「徹底的に無駄を削る。それでもどうしても出来なかったら増税を」と答えていました。

 私はこのあたり、ずばり前原代表の、つまり理想家の弱さを突いた質問だと思いました。理想の前に立ちはだかるのはいつだって現実(金)です。ただそこで、無駄を削るという理想論(失礼)を唱えつつ、最終的には「増税」を口に出せる踏みとどまりが、前原代表が理想家だけで終わらない部分かなーと。

 あ、この記事で私はかなり前原代表褒めてますけど、取り込まれたとか言われそーですけど、前記2で書いたように、私の前原代表評価は基本的にポジティブ傾向ですから。まあうちのブログはそもそも、「褒め」を基本にしています。「人は褒めることによって伸びる」というのが私の信念です。そのあたり、お断りしておきます。
 「褒め」の部分は基本的に全て私の勝手な印象、意見であることもあらためて書いておきます。


 ここでいよいよタイムアップ。時刻は19:50でした。前原代表が出ていくと言ってから、20分粘ったわけです。このあたり正直すごいなと思います。泉さんは嫌われたとおっしゃっていましたが、私は前原代表ご自身、あの場にいたブロガーたちに自分の意見を聞いてもらえることを嬉しがっていたと思います。だって非常に吸収の早い、頭のいい皆さんがそろっていましたから。質問も的確だし。聞き手の質が高いということは、話し手にとって最高に嬉しいことです。このあたりは、この集まりのちょっとした、しかし大きなウリだと思うんですよね。

 さて、前原代表は退席され(20分待たせてしまった次の約束の人ごめんなさい)、大塚議員から今後どうするかという話が出ます。「その後のことは分からないけれども、とりあえずはもう一回このメンバーでやりたい」ということでした。・・・まあメンバー固定ということは、批判も受けやすいかと思いますが、本当に今回は顔合わせ程度だったこととか、お互いのキャラクターも全然把握出来ていなかったこと(ブロガー同士もそうでしたから、連携ってのはほとんどなかったですし)、そのあたりのマイナス作用も考えると、「とりあえずもう一回このメンバーで」というのは純粋に面白い試みだと思うのですよね。ともあれ最終的には泉さんがイニシアチブをとって決められることかと思います。

 あといくつか覚えている範囲で印象的だった話。
 もうあとは雑談状態でみんな好き勝手話していたのですが、その中で大塚議員がぽろりと「政権は手段であって目的ではない」っておっしゃったのですね。小飼さんはそれをとても評価されていました(ご自身のエントリ参照)。「それを聞けて、今日ここに来て良かった」とおっしゃっていた程です。大塚議員は「いや、みんなそれは思っていますよ」とごく自然な口調で答えられていました。

 それからこれは誰が質問したか忘れてしまったのですが(追記:BigBanさんだそうです)、前回選挙の民主党キャッチフレーズ「日本をあきらめない」、これはいくらなんでもあんまりじゃなかったかという突っ込みが。
 それに対して民主党議員さんからは、「何人か集まって決めるほどの余力がなかった。ある人がアイデアを出して、その人的にはこれが素晴らしい案だと思って、それがそのまま通ってしまった」。で、実際このキャッチフレーズが発表された時、何人かは椅子から転がり落ちたそうです。
 「そこで止めて欲しかった」とブロガー側から突っ込み。「これ、10年前なら行けたと思うのですよ。でも今の時代には全然あっていない」という指摘もなされました。
 あー、これ質問されたの誰だったかな。面白い話だったのに、引き出してくれた人をメモっていなかったとは不覚。Grio blogさんのテープ起こしを待ちましょう。

 他に私は最後に手を挙げて、「会見の全文公開は是非お願いしますー」と叫んでおきました。絵文禄ことのはさんのここに載っていますが、松本政調会長から「確かに要約じゃだめだよ」と結構手応えのある反応をいただきました。本当は会見だけじゃなくて、それこそ国民投票法案の案だとか、憲法改正案だとかそのあたりもお願いしますと頼むべきだったかな。・・・人間、欲には果てがありません。


 みんなでぞろぞろと出ていきながら、私は松本政調会長と何気なく雑談。今回の懇談会がもしかしたら院内で行われるかもって話があったことを出して、「いやー、一度国会の中って行ってみたかったんですよ。赤絨毯ってふかふかなんですってね」とミーハー丸出し発言。・・・田舎モノですから。それに対して松本議員は、「今この時間だと借りられないのかな」と他の議員さんに尋ねるなど、こっちがびっくりするくらい親切に対応してくださいました。
 ま、そんな感じでわいわいとエレベーターに乗り込み、そこで議員さんとはお別れ。

 階下に降りて、あと何人かのメンバーで飲みに行きました。そこでいろいろ話もしつつ、でもまあ雑談が多かったかな。今後どうするかとかそういう具体的な話はしませんでした。それはこれから、web上でまた相談されていくことでしょう。

 ともあれ、民主党懇談会報告はこれでお終いです。あと後記として、私なりのまとめをもう一本書こうかと思っています。

参照
民主党ブロガー懇談会速記録
民主党懇談会報告民主党懇談会報告2


とりあえずの民主党ブロガー懇談会感想
とりあえずの自民党ブロガー懇談会感想

民主党ブロガー懇談会:前記・確認
民主党ブロガー懇談会:前記2・口火を切るまで
民主党ブロガー懇談会:憲法改正問題に関して
民主党ブロガー懇談会:ネットと政治に関して-先端vsド素人
民主党ブロガー懇談会:食い下がりで見えた沢山のもの
民主党ブロガー懇談会:まとめと私の考えるネットジャーナリズム

自民党ブロガー懇談会:質疑応答・コンテンツ、バイク、ニート
自民党ブロガー懇談会:中川議員の話、女系天皇問題
自民党ブロガー懇談会:質疑応答・障害者支援、世襲と公募
自民党ブロガー懇談会:質疑応答・IT教育、懇談会の意義、女性
自民党ブロガー懇談会:サンドイッチ問題?と世耕議員との一問一答
自民党ブロガー懇談会:まとめと2つの提案

自民党メルマガ/ブログ作者との懇談会:参加談一覧
ブロガー懇談会:残された宿題
ネットはネット内で完結してはいけない ~ブロガー懇談会に期待すること

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BigBang

お疲れ様です。素晴らしい記録力!tracker's burrowさんの底力に感動しています。ところで

>前回選挙の民主党キャッチフレーズ「日本をあきらめない」、これはいくらなんでもあんまりじゃなかったかという突っ込みが。

これは私ですね。覚えています。
by BigBang (2005-11-05 01:43) 

Aa

こんにちは、BigBangさん。先日はお世話になりましたです。
そういわれると恐縮なのですが・・・私の取り柄はこういうパラノイア的記憶力と文章書きでして。前回の各党討論会レポートもあわせ、そのあたりを買われて今回あのメンバーに加えていただいたと思うので、まあこれくらい書くのは当然の義務かなーと。

名乗り出もありがとうございます。書き加えておきますね。
by Aa (2005-11-05 09:43) 

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