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大政党の洗練度と小政党の悲哀:「各党討論会」感想・各党の主張 [ブロガー懇談会関連]

 昨日8月31日に、東京赤坂プリンスホテルにて、6党の若手議員が参加する各党討論会が行われました。これは民主党側が一対一での党首討論を求めたのに対し、自民党側がそれを拒否、かわるものとして提案した討論会です。(gooニュース・関連記事

 さて、自民党側は前日になって、先日の「ブログ/メルマガ作者と党幹部との懇談会」に呼んだブログ/メルマガ作者にも、この討論会への出席(取材)の案内をメールで送ってきました。私は別に呼ばれていないのですが、横から潜り込んで参加の了承を取り付け、行ってきました。片道四時間、のこのこかけて(まだ言うか)。

 会場に着くまで、および感想自体の前記はそれぞれリンク先をご覧下さい。


 出席者の一覧です。自民党からは林芳正参議院議員、小林豊参議院議員、世耕弘成参議院議員、公明党からは山口那津男参議院議員、澤雄二参議院議員、民主党からは枝野幸男衆議院議員、前原誠司衆議院議員、福山哲郎参議院議員、共産党からは小池晃参議院議員、社民党からは阿部知子衆議院議員、新党日本からは荒井広幸参議院議員が出席なさっていました。
 国民新党は東京都に立候補者を立てていないので不参加。

 とりあえずざっと顔ぶれを見て思ったのは、「あー、前原さんと福山さんだー」。・・・といっても別に知り合いではありません(当然です)。このご両者は京都の議員さんであり、特に前原議員はうちの実家の選挙区なのです。始めて立候補され、出町柳の街頭で一人ぽつんと立って演説していたころから知っています。一回選挙で投票したこともあります。・・・確かその時は小選挙区では落選され(私は疫病神)、比例区で復活当選されたんじゃなかったかな。記憶だけなので曖昧ですけれども。
 福山議員も選挙ポスターは何度か拝見しています。笑顔が印象的なポスターでした。

 あと事前にテレビなどでお名前を拝見して知っていたのは、先日の懇談会や今回の討論会の企画者でもある世耕議員と、民主党の枝野議員と、新党日本の荒井議員。あんまり政治に詳しくない私でも結構知っている名前があったので、驚いたのです。
 勝手な先入観で各党一人なのかなと思っていたんですが、複数出ていることもちょっと面白いなと思いました。


 マスコミの方お二方が司会を務められ、まず各党それぞれの主張、次に相手を指定しての討論(ディベート)、最後に司会者からの補足質問という形で討論会は進みました。

 この記事では、事前に配られた各党のマニフェスト、および各党それぞれの主張と、それらに対する私の勝手な印象を紹介します。

 こういう場合のお約束なので書いておきますが、以下の事柄は私の個人的意見であり、話された内容の中からは独断と偏見に基づく抜き出しを行っております。またいきなり前日に知ったためレコーダーの類も用意していませんでしたから、ノートにメモしたことを元に書いていますので、もしかしたら記憶違いや間違いもあるかもしれません。(もしもご指摘いただければ訂正します)。
 そのことは念頭に置いて読んでくださるようにお願いします。


まず自民党から。

 自民党のマニフェスト冊子は、パンフレットとしては一番出来がいいのではないかと感じました。さすがに広報に力を入れているだけのことはあるなという印象です。

 1 2

3 4 5

 表紙に大きく小泉総理の顔(写真1)、ついで4ページほど広告的なアイキャッチ(目を引く)のピーアールがあり(写真2)、自民党からの120の約束(公約中身)へと進みます(写真3)。さらにそれを5つのテーマに分けてあり、それぞれ5つの色に塗り分けしてページを作っており、中身についても「大見出し(キャッチコピー)」「色つき見出し(慨案)」「公約見出し」「具体的な内容」という構成になっていて(写真4,5)、読みやすいです。

 主張についても大体同じ事が言えました。分かりやすく、整理されている。たぶん事前に原稿は作られていたんでしょうけど、いかにもプロの手が入っているなという感じがしました。この場合は政治的プロではなく、広報・広告のプロという意味です。


 内容はまず郵政のこと、ついで自民党が今まで積み重ねてきたその時々での改革の歴史を主張し、今回はシングルイッシュー(問題点を一つ)にしぼったこと(=郵政ってことですね)、小さな政府を目指すということ、覚悟の違い(主に総理の姿勢のことだと思われます)を強調していました。あと、憲法改正について実際に条文化して公表していること、特に演説した林議員が担当している外交安保に言及して、話は終わりました。

 個人的な印象としては、総理演説などで今まで受け取っていたメッセージとブレがないなと感じました。問題点、争点を一つにしぼることは、もちろん弊害もあるのですが、ことメッセージを送るという点では有効です。今回の場合は小泉総理の強い郵政へのこだわりと、自民党が積極的な広告利用に乗り出したこと、その歯車がぴったり噛み合わさったのではないかと思いました。
 でも憲法改正の話で外交安保に踏み込んだのにはちょっとびっくりしましたね。それって9条改正ということではないですか。確かに以前から自民党の主張ではありましたが、国民レベルではまだ反発の強いことではないかと思い、今回の選挙で打ち出すべき争点かというと、私なら出さないなと思っていたので。でも現場では、想像以上に実際的なこととして語られている、そのように感じて衝撃を受けました。(林議員個人の思い入れだった可能性もありますけれど)。


次に民主党です。

 民主党のマニフェスト冊子は自民党に比べて、良くも悪くも真面目さが前面に出ていると感じました。

表紙 1 2 

3 4

 最初の2ページがアイキャッチ広告(写真1)、その後やはり8つのテーマを掲げ(写真2)、キャッチコピーをつけて公約が並んでいるのですが(写真3)、全体がおそらくテーマカラーと思われる赤で統一されています。これはちょっと読みやすさという点では、色を使い分けた自民党に一歩ゆずります。
 同じく読みやすさの点で損をしているのは、字が小さい。キャッチコピーなどはバーンと大きく印字されているのですが、具体的な公約などになるとなんだかいきなり字が小さくなるのです。ちょっと落差が大きすぎまし、読みにくいです。

 面白いなと思ったのは、また民主党としてもここは主張したいんだろうなと思ったのは、政権を実際に取ったらどう動いていくか、具体的に500日のプランとして表にしてある部分でした(写真4)。こういうのって「とりあえず一度政権を取らせてみたい」と思っている有権者(民主党支持者にはそういう考えの人が多いと思う)には有効じゃないですかね。
 ただその内容となると、また良くも悪くも真面目だというか、いきなり専門的な話に突入していってしまうのです。せっかくネクストキャビネットを作っているのですから、誰をどの大臣にしますとか、そんなこと言っちゃってもいいんじゃないかと、外野は無責任に思いましたですよ。
 何せ岡田代表にしてからが「総理予定者」と書かれているのですから。予定者かよ!と、ここは突っ込み所のような気がしてなりません。いや気持ちは分かるのです、でも言葉の使い方としては上手くない。私は笑いました。すみません。


 主張についてはまずここに至る経緯、つまり岡田党首と小泉総理の一騎打ちを望んだものの果たせなかった、しかし実際の所次の総理になる可能性があるのは岡田か小泉である。重ねて一対一の討論を要求したい、そこから始まりました。ついで民主党は国民の幸せを追求する、具体的には少子高齢化の問題(少子化、年金)を大きく考え、ついで財政状態の改善、そのために予算を削減する、17兆円という具体的な数字を出している、うちは具体的な主張をしている。そのような内容でした。

 個人的な印象としては、いきなり攻撃的に始まったなーと思いました。自民党に対しても攻撃的ですが、なにげに他の野党にも喧嘩売ってます(実際にどこだったか指名して、「**さんが首相になる可能性ないでしょ」とか言ってました)。まず最初に延々それを語るあたりは民主党らしいですはい。
 あと今ノートを見返して気付いたのは、郵政の文字がなかった。もしかしたら話したのかもしれませんが、私がメモしてないってことは少なくとも強い主張ではなかったのです。民主党は郵政を争点としては戦いたくない、ということがこの点から読みとれます。
 逆に訴えたいのは少子高齢化の問題と財政削減であると。


3番目は公明党

 マニフェスト冊子ですが、いきなりM日anifestoになっています(写真1)。さすが「そうはいかんざき」さんの党。

1 2 3

4 5

 最初の2ページが同じく広告で、ついで3つの色に分けて2ページずつ「郵政民営化を推進(写真2)」「公明党の重点政策」「日本を変える、公明党6つの改革!(写真3)」と続きます。で、その後はその6つの改革の具体的な中身です。ラストで「当面する重要政治課題(写真4)」があげられ、最後のページでは「検証マニフェスト」とうたって実現・進行中99%と書いてあります(写真5)。
 なかなか読みやすく、また訴えたいこともまとまっている感じがしました。ずらっと並べていくだけではなく、「重点政策」「当面の重要課題」を抜き出しているのは上手いんじゃないでしょうか。こういうのはリアリティを持って感じられます。
 マニフェストの検証についても、123項目を「実現」「大前進」「前進」「取り組み中」「進行中」とラベリングしているのは、キャッチーだと思います。ただその内容については具体的には書いてありませんし、この仕分けにしてからがそもそも胡散臭さを漂わせていると、私のようにひねくれたものは思うのですけれども。


 主張については郵政を強く押し出していました。改革するかしないかの二元対立であると。まずそれについて時間を大きく割き、ついで「しかしその次の課題もあります」という形で、人口減少社会を挙げ、それに対する対策としてチャイルドファースト(子供優先、子供に優しい社会、具体的には児童手当など)を打ち出していました。それから歳出の削減に取り組むこと、具体的には事業を仕分けしてどれが必要で不要かを検証していく、そのような内容でした。

 個人的な印象ですが、公明党は政策政党か?と思うくらい、まとまっていて具体的でした。ちょっと新党さきがけを思い出し、いやいやと慌てて否定しましたが。・・・与党連立の小政党ってどうしてもそうなるんですかね?
 ともあれ、公明党がこんなに郵政に関して強く訴え、自民党の援護射撃をしているとは、意外でした。自民党さんにしてみれば心強いのではないでしょうかと勝手ながら思いました。その他の課題についても「問題点」「対案」という一対一で綺麗にまとまっていたと思います。


4番目は共産党

 マニフェスト冊子は・・・真面目です。民主党以上に真面目です。商業的な広告性などみじんもなく、古き良き(?)まさに政党パンフレットという感じです。

1 2 3

 表紙(写真1)からまず訴えがはじまりますし、めくってすぐにこれ(写真2)です。・・・ひたすら字がならぶ。一応7つの見出しはありますけれども。一般人でこれ最初から最後まで読む人ってどれくらいいるのだろうと、大変に失礼ではありますが思ってしまいました。しかし支持者は熱心に読んで勉強するんだろうなって予感もひしひしとします。まさに共産党らしいパンフレットです。
 さらに共産党の封筒には、こんなものも入っていました(写真3)。「各分野の政策」と題し、「日本共産党中央委員会 政策委員会」と書いてあります。ざらばん紙に印刷されたものが45枚、左上をホチキスで留めただけの形です。分厚いです、重いです。うーん、すごいというか、まさに共産党さんらしいというか。なんというか。


 主張についてはvs自民党、vs小泉、財界やアメリカ追従をやめさせ、中小企業が苦しんでいるのに対し大企業は潤っているその状況を弾劾すると。またさらにvs二大政党ということも訴えていました。増税や憲法改正にも反対であると。共産党は3つの仕事をします、一つには対小泉さん、それから対案を出してきた実績、さいごに野党外交の必要性。

 個人的な印象ですが、パンフレットと同じく伝統的な古い野党という感じがしました。共産党さんって一時は是々非々野党を目指すとおっしゃっていて、その頃民主党はなんでも反対野党だったのに対し、私は好意的に評価していたんですが、今はすっかり反対野党に戻られたみたいですね。野党の立場もなかなかに入れ替わりありで面白いです。
 あと、野党外交ね。野党外交なー。共産党さんの外交というと、なんか相手国が分かってくる気がするのですけれども。個人的な意見ですが、私はそもそも野党外交についてあんまりいい印象持っていないのです。私はどちらかというと、内側ではどんなに対立していても、外に対しては一枚岩で当たるべきだという考えの持ち主なので。


5番目は社民党です。

 マニフェスト冊子は、あとで議員さんも主張されていましたが、表紙はフェミニンな(柔らかい)感じを目指したそうです(写真1)。

1 2 3

 中身はこんな感じ(写真2)。共産党さんといい、刷り色の少なさやページ数に小さい党の悲哀を見ます。「国民を見ずして、改革なし」とまず訴え、「変える!」「ただす!」「つくる!」「まもる!」「いかす!」のコピーで5つの分野において主張がなされています。段組など形としては共産党に近いですが、あちらよりは読みやすいです。ただそれには具体的ではない、抽象的な言葉が多く用いられているという面もあります。
 裏表紙はこんな感じ(写真3)で、「どちらの道を選びますか」と題して「小泉改革を進めるとこうなります!」「社民党は「もう一つの日本」を提案します!」と対比の表になっています。社民党が訴えたいことというのは、つまりはここにまとまっているのだろうなと思いました。そして一番のポイントは上に大きく印字された「比例区は社民党」の文字。・・・小選挙区制下では、生き残る道は比例区ですもんねえ。


 主張については、男女格差から入りました。この会場にも女性は少ないと。ついで子供を持つ不安を訴え、マニフェストを取り出して表紙にも見られるように「あたたかさ」「やさしさ」「思いやり」がうちの党にはあると。小泉政治への批判、近隣諸国との関係悪化のこと、社会保障問題、社会格差の是正。パート、アルバイトの問題。さっきも出てきましたが男女の差、少子化なのは働き方の展望が持てないからである。非正規労働(パート、アルバイト)の増大と、それではつまり子供を持つ気になれないだろうと。あとは年金の一元化と平和憲法を訴えていました。

 個人的な印象ですが、私は会場にいた女性なわけですが、こういうフェミニズムってどうなんでしょうね。率直に言って古いと私は思うのですけれども。もちろん男女格差の是正は必要ですよ。ただその方向性が・・・。いつ熱を出して幼稚園や保育園から迎えに来てくれと言われるかも分からない子供を抱えていて、二親ともがフルタイムで責任ある仕事をするって、現実的ではないような。むしろパートやアルバイトの活用や地位の向上こそが必要な気がします。まあ、それは私の考えですけれど。
 印象としては総じてエモーショナル(感情的)でした。こういうのって政策政党としてはどうかと思いますが、この感情性が一部の人にはとても効くのも確かです。うちの母とか、いまだに土井たか子さん好きですし(田中真紀子さんも好きだ)。理性だけでは人間は動かないということなんでしょう。


六番目(最後)は新党日本

 マニフェスト冊子は、えーと、ないです。配っていなかったのか、私がもらい損なったのか。後者だったらごめんなさい。


 主張についてはフリップも用いて説明なさっていました。でも前から二列目に座っていた私もあんまり読みとれなかったんですけれど。まあ私はそんなに目がいいほうではないですが(でも1はあるぞ)、テレビ向けだったのでしょうか。
 まず年金通帳というものを作るということ。郵政だけではかわらない、郵政だけではない。うちは田中康夫さんを代表として、地域主権を目指します(ここで声を張り上げる)。対立からの解決、○か×かだけではなく、話を進めて欲しい。そのような内容でした。

 個人的な印象ですが、そもそも演説は上手い方なんだろうなと思いました。でもいかんせん内容が、苦しい。郵政法案に反対してはじき出された人達が、郵政だけではないと叫ぶのは、なんというか、悲壮です。そういう風に戦うしかないんだろうなって部分は思います。だけどどうしても、見る側からの冷たい視線は避けられない。うー、気の毒です。


 ざっと、こんな感じでした。私はキーワードという形でメモを取っていたのですが、このうち「郵政」がキーワードに入っていたのは自民党と公明党そして新党日本(否定形ですけど)。「少子高齢化」関連の言葉がキーワードに入っていたのは、民主党、公明党、社民党でした。他に多かったキーワードは「外交」、自民党(外交安保)、共産党(野党外交)、社民党(近隣諸国との関係)。「財政再建関連」、自民党(小さな政府)、民主党(歳出削減)、公明党(歳出削減)。
 何はともあれ今回の選挙の看板は郵政ですけれど、現在の政治のキーワードとしては「少子高齢化」と「財政再建」「外交問題」があるのかな、という分析が出来るかと思います。

 各党の主張は主に理路整然と、秩序だって進みました。みなさん原稿を用意するか、少なくとも何を話すかはまとめていたはずなので、まあ当然といえばそうですね。目新しいことはないですが、裏読みすると楽しいです。

 とりあえず前半はここまで。討論についてはまた次の記事にまわします。討論ー、まとめられるのかしらん。・・・その前に英語の宿題やらないと。ぎゃー。

追記:9/2 12:43
 タイトルを「大政党の広告性と小政党の悲哀」から「大政党の洗練度と小政党の悲哀」に変更しました。変更の経緯についてはコメント欄をご覧下さい。


「各党討論会」感想シリーズ
  明日の「各党政策討論会」:えーと、行ってきます
  帰還しました:「各党討論会」感想・前記
  勢いだけで東京に行く:「各党討論会」感想・会場に着くまで
  ・大政党の洗練度と小政党の悲哀:「各党討論会」感想・各党の主張
  ・ヤジと個性と衆参と:「各党討論会」感想・各党議員さんの印象
  ・ザ・直接対決:「各党討論会」感想・自民vs民主の討論
  ・交差する思惑:「各党討論会」感想・自民民主以外の討論
  種をまく―ブログの可能性について:「各党討論会」感想・後記


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