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「ばらいろポップ」:お姫様とナイトたち [音楽]

 Coccoとくるりその他のメンバーが結成した新バンド、SINGER SONGERのアルバム「ばらいろポップ」を買ってしまいました。元々は、こんなに早く買う予定ではなかったのです。今月はちょっと細かい出費が多くて予算がきつくなってるし。いつか買おうとは思っていましたが。
 でも、シングル「初花凛々」の初回限定版に付いてきた、DVDの初花凛々ビデオクリップとレコーディング・オフショットを見てしまったらもー、ダメでした。
 今すぐ買わないとダメ。買わないとオトコがすたる。その勢いでTSUTAYAにゴー!・・・いや、私はオトコじゃないのですが。

 初花凛々のビデオクリップでですね、田舎を走るのんびりした二両編成の列車の少しレトロな車内の椅子に、無防備な姿で幸せそうに横たわっているCoccoを見た途端、思ったのですよ。「ああ・・・お姫様」って。
 ショートカットにした髪が新鮮で、でもとても可愛らしくて、しかも美人で。彼女の瞳と口はちょっとばかり普通よりも大きすぎるし、視線は独特だし、いわゆる典型的な整った顔の美人じゃない。だけど見つめていたら目を離せないという意味の美人では、間違いなくあると思います。くるくる変わる視線と表情、その美しさは捕らえどころが無く、瞳の色は黒くて深くて魔性的でもある。
 あの大きな瞳に見つめられたらフォーリンラブ、豊かな唇からつむぎだされる柔らかでのびやかな声。最後はこちら(カメラ)に向かって戸惑ったような、でも意味ありげな視線を向け、ふっくらした桜色の唇をそっと差し出してくるその姿に。ああ、お姫様ッ、私は今すぐ(アルバムを)買わせていただきます。私はあなたの下僕ですー。そう思ってしまったのです。これもまた、一つの敗北というものです。だけど何度繰り返してもいいタイプの。・・・たぶん。

 ま、このラストショットには綺麗なオチもついているんですけどね。誰もおまえらのそれは見たくねーという。・・・私、SINGER SONGERの男性陣に対してはちょっと遠慮がございません。というのもバンドくるりのお二方は、私の大学の先輩なのです。しかも在学中にデビューしたし、片方の方は確か学部まで一緒だし。正直、あんまり他人という感じがしない・・・。いえもちろん、大変尊敬申し上げているのですが。いつまでもあか抜けない兄ちゃんたちだな、ああいかにもうちの大学の人だなとも、ちょっと、思っています。


 Coccoが個人としての歌手活動を休止した時には、いろんな理由がささやかれました。私はあまりそういうワイドショー的興味は持たないようにしているので、詳しくは知りませんし知ろうとも思わないけれど、実のところ漏れ聞こえる情報からの判断で言えば、あまり彼女にだけ同情的というわけでもないのです。
 表現者にとって周囲との軋轢というのは本来あってしかるべきものだと思うのですね。そこまでコントロールしてこそ、表現者だろうと・・・。いや、まあ、部外者には計り知れない色々があったのだとは思いますが。そこで潰れてしまうということに関しては、可哀相だとは思いますが、敗北だなとも正直なところ思います。
 ですけど、今回彼女がこういう形で歌の世界に帰ってきてくれたことは、とてもいいことじゃないのかなという印象を持ちました。これもまた、「初花凛々」のDVDクリップを見て思ったことです。

 あのあか抜けない男性陣が、Coccoというお姫様を守るナイトたちにも見えたんです。
 ナイト(騎士)といっても、ジェダイの騎士とかそういう格好いいものじゃなくて、もっと田舎の小さな、例えば童話のいばら姫とかそんな世界の騎士のみなさんに。「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」で言えば、ゴンドールじゃなくてローハン。そういう感じでしょうか。
 元々うちの大学の男性陣はナイトには向いているのです。京都では三つの大学を指して「結婚するならK大、恋人にするならD大、鞄持ちにはR大(うちの大学)」という言葉があるくらいです。ヒドイ。でもそんなに外れていないことは、そこを卒業した私が保障します、はい。うちの大学の男性の皆さんは、どーにもあか抜けなくて、だけどのんびりおっとり気は優しくて力持ち(実力はある)、そういう方々なんですよ。
 だからきっと、繊細で優しいCoccoのことも、大切に守ってくれると思うのです。オフショットクリップを見てもそう思いました。Coccoの鋭い感性を、ふんわりぼんやり包んで守りながら、その内部でしっかり受けとめて音を育てていってくれそうな。本気になったら頭はいいんです、うちの大学の人たちは。

 実際にアルバムの音を聞いていても、その確信は変わりません。今はまだ買ったばかりですし、このアルバムがいいアルバムか、本当に評価を下すことは出来ないんですけど(私は音楽の評価には時間がかかるんです)、なんだかすごく可能性を感じるアルバムです。
 ジャケットには花の絵が使われていますけど、どちらかといえばまだつぼみの、これから花が開くという、そんな予感がしました。ゆっくりゆっくり、音を作っていければいいなと思います。
 Cocco個人はどちらかというと生き急ぎを感じる歌手で、それはそれで魅力的だったけど、やっぱり長続きはしないんじゃないかという予感は常にあって。だけどSINGER SONGERというユニットの中では、もっと柔らかく現実に着地していけばいいんじゃないかなと。


 私はCoccoの作る歌が好きです。それは歌詞の過激さまた過敏さや、反面音の持つポップさ、華やかさなど様々な方面から魅力を語ることが出来ますが、一番の魅力は実際に歌ってみることで分かるところにあるのではないかと思います。
 Coccoの作る歌は、歌ってとても気持ちがいいのです。音が伸びやかで歌詞が自然とそれに乗っていて、お腹から思いっきり息を吐いて、声帯を震わせ、口から舌の先へ、さらに鼻の奥までもを使って歌える、その感覚全てがとても心地がよい。もちろん私の力量ではCoccoほどには歌えず、従って魅力の全てを味わい尽くすことは出来ないんですが、これはいかにも歌を歌うことの楽しさを知っている人が作った曲だなと、いつもしみじみ思うのです。だから、大好きです。

 お姫様、この新しい世界でどうかあなたがいつまでも幸せに歌えますように。そしてナイトのみなさん、どうかそんなお姫様をいつまでもずっと大切に守ってあげてください。・・・お願いしますよ、先輩方。

http://www.singersonger.com/

初花凛々 (初回限定盤)

初花凛々 (初回限定盤)

  • アーティスト: SINGER SONGER, Cocco
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2005/05/25
  • メディア: CD

ばらいろポップ

ばらいろポップ

  • アーティスト: SINGER SONGER, Cocco, 岸田繁
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2005/06/29
  • メディア: CD


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