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「マックス・ラーベ&パラスト・オーケストラ」:滑稽で、でも美しい [音楽]

 その幸せをなんと表現すればいいのだろう。マックス・ラーベとパラスト・オーケストラが作り出す空間は、この世の優しくて美しい音楽を教えてくれる。彼らはドイツの1920年代から30年代に歌われた、キャバレー音楽を復興させた。それは我々が通常ドイツと聞いて連想するような厳めしいものでも、逆にお高くとまったものでもない。「鶏に生まれたほうがマシだった」や「ぼくのゴリラには別荘がある」といったシニカルな笑いの歌から、「君は僕のコーヒーのクリーム」や「ファーストキスを恐れるな」といった甘い愛の歌まで。彼らの音楽は実に多彩である。
 CDで聴いても素晴らしいが、演奏風景はもっと素敵だ。マックス・ラーベは正装に身を包み、オペラ歌手としての教育を受けた喉を使って、真面目くさった顔でどんな歌でも軽やかに歌い上げる。そして間奏の時には後ろに下がり、グランドピアノによりかかって演奏者達にスポットライトを譲る。それを受け、支えるオーケストラの面々も傑作だ。一人がいくつもの楽器を受け持つ芸達者さを見せながら、時にはその喉まで披露して、音が持つ全ての魅力を伝えようとする。ラーベ氏とは対照的に、演奏するときも片時もじっとはせずに、顔を見合わせたり交互に立ち上がったり、実に賑やかな集団だ。やはりタキシードやドレスに身を包んだ彼らは、どこにでもいそうなドイツ人の顔をしているのに、どう見ても紳士淑女の集まりにしか見えない。服装と音楽のもつ上品さと確かな演奏技術が、舞台の上で輝きながら多才な楽士たちを包んでいる。
 古き良き幸福な時間、けれどもう失われた時を現代に再現する彼らは、私達につかの間の夢を見せてくれる。微笑みながら笑いながら、指の間からこぼれていく砂を追うように、何故私は悲しいのだろうと問いながら。その幸せは言うならば恋だ。滑稽で、でも美しい。
 彼らの曲にユーモアと恋の歌が多いのも、きっとそんな理由だろう。

(800字批評シリーズ:800字)

  パンフレットより。
 「この写真でいいの?」と(たぶん)聞かれながら(ドイツ語だったので)、ゲットしてきたサイン。

 参照:「芸術のるつぼ……マックス・ラーベ試論」


ベスト・オブ・マックス・ラーベ&パラスト・オーケストラ

ベスト・オブ・マックス・ラーベ&パラスト・オーケストラ

  • アーティスト: マックス・ラーベ&パラスト・オーケストラ
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2007/05/09
  • メディア: CD

ルンバ天国

ルンバ天国

  • アーティスト: マックス・ラーベ&パラスト・オーケストラ
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2007/05/09
  • メディア: CD


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「Roman ~僕達が繋がる物語~」:違う道を来たりて至る [音楽]

 もしもそのミュージシャンが、通りすがりの他者と向き合っての路上ライブや、客の顔一人一人が見えるようなライブハウスでの演奏を経てデビューするのではなく、インターネット上で顔の見えない不特定多数に向かって音楽を配信し、コミックマーケットの場でCDを売っていたら。貴方はそれをどう感じるだろうか。そこには何か足りないものがあると、思うだろうか。
 Sound Horizonはそのような過程を経てメジャーデビューしたアーティストである。正式なメンバーは作詞作曲編曲までを担当するRevo一人。後はその時々に応じて、歌手も楽員も最適な編成を選ぶという形式になっている。その構成は、最新作「Roman」においては実に70名に及ぶ。
 Revoが作る曲は一つ一つがストーリーを持ちながら、さらにアルバム全体に複数のキーワードが埋め込まれ、タイトルに表される一つのコンセプトに集約していくという形式を取る。
 ゆえにライブの形式も独特である。歌い手たちが曲中の登場人物に扮して繰り広げるステージは、ミュージカルとライブパフォーマンスの中間にあって、劇のように音楽を物語る。
 さて、そんな彼らのライブにおいて客に求められる態度は、座って聴くことだろうか。いや、このDVDを一見すれば明らかなように、客達は1曲目が始まった瞬間、舞台と客席とを隔てる幕が開くと同時に立ち上がって奏者を迎える。ステージ上と客席との幸せな応酬、それは毎曲ごとに繰り返され、アンコールを待つ間にも彼らは自然とRomanのテーマを口ずさむ。
 どうしてそれが可能なのか。少なくともこの現実を受け入れるためには、改めなくてはならない認識があるだろう。ライブとは何か。人と人とが向き合うとは何か。
 一つの音楽空間を共有するということは、単に物理的空間においてのみ達成されるのではなく、ただそこに音楽があれば、私たちは繋がれるという現実を。
 このDVDは物語る。

(800字批評シリーズ:800字)


Sound Horizon公式サイト(試聴曲有り):

Sound Horizon Concert Tour 2006-2007『Roman~僕達が繋がる物語~』〈限定盤〉

Sound Horizon Concert Tour 2006-2007『Roman~僕達が繋がる物語~』〈限定盤〉

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2007/04/25
  • メディア: DVD

 


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Sound Horizon Concert Tour 2006-2007 『Roman』追加公演 [音楽]

 もう昨日ですが、2007年1月6日、Sound Horizon Concert Tour 2006-2007 『Roman ~僕達が繋がる物語~』追加公演in大阪が行われました。
 内容は前回とほとんど変わらなかったので、本筋のレポは前回のものを参考にしてください。以下は小ネタ集です。例によって、Sound Horizonを知らない方にはほとんど意味のないレポとなっております。
 また例によって、某所の掲示板に投稿したものを再編集したものです。どうしても掲示板だとログが流れていってしまいますので・・・。ご了承ください。

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Sound Horizon Concert Tour 2006 『Roman ~僕達が繋がる物語~』 [音楽]

 さる12月6日に大阪・なんばHatchで開かれた、コンサートという名のライブに行ってきました。
 私は京都出身で途中兵庫県民になり、今また京都人をやっておりますが、大阪という土地はことライブに関しては大変によい土地であると思っています。やるからにはとことん楽しんでやろう、受身じゃ駄目、バカになったもの勝ちというノリを大変に感じて、それはエンタテイメントに対する自分の考えと、とても通じるところがあるのです。
 しかし大阪には欠点もいろいろあります。ことライブに関していうならば、大阪というのは大変に複雑な都市であるということです。碁盤の目で育った京都人にとって、あそこはまさに迷路。縦横無尽に張り巡らされた地下街は、この街に都市計画という言葉はないのか…ないんだろうなという思いを、いつも抱かずにはいられません。いつか地盤沈下すること確実です。
 というわけで、初めての会場に行くときはいつもたっぷり余裕をとって家を出ることにしているのです。

 以下、ライブの内容を含め詳細なネタバレをしておりますし、Sound Horizonに興味のない方にはあまり意味はないだろうなというレポですので、ご了承ください。
 ちなみに某所の掲示板に投稿したものを、さらに加筆再編集しております。

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「Roman」:複雑にして純粋な音楽 [音楽]

 去年の年末以来、深くはまっているアーティストSound Horizonの、メジャーアルバム第3弾にして、5th Story CDと銘打たれた「Roman」が発売されました。どうして第3弾なのに5番目なのかというと、同人(インディーズ)で発売した分のアルバムがあるからです。
 タイトルである「Roman」は作中で主に「物語」の意味で使われていますが、「其処にロマンは在るのかしら?」という繰り返されるフレーズには、「生まれてきた意味」というニュアンスもありそうです。さらに「嘘をついたのは誰か」という謎かけからは、「真実」という意味も含んでいるようです。


 Sound Horizonの音楽を語ることは難しいのです。

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「Elysion ~楽園幻想物語組曲~」:幻想と奈落へのパレードを [音楽]

 ガンスリンガー・ガールのイメージアルバム「Poca felicita」を買った時に(参考記事)、作曲者RevoさんのサイトでSound Horizon名義で出ている他のCD曲も視聴していて、それがどーしても耳に残って離れずつい買ってしまいました。そして奈落。
 ヘッドホンで耳が痛くなるまで聞き込み、最近足を踏み入れたmixiで真っ先に参加したコミュニティはこれ関係。とらのあなでのみ通販しているインディーズCD「Chronicle 2nd」まで手に入れて、落ちるところまで一直線。

 Sound Horizonの音楽の特徴は、一枚のCD(アルバム)を通して一つの物語音楽が語られているところです。例えばこの「Elysion」では仮面の男とその娘の物語を軸に、挟み込まれるように5人の少女達による5つの悲劇が語られ、そちらはElysionと対を成すAbyssサイドと名付けられています。

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「poca felicita」:小さな幸せ、幸福な出会い [音楽]

 まずこの作品を語る前に言っておかなくてはならないのは、これはとても幸福な作られ方をした作品であるということです。普通、漫画(アニメ)のイメージアルバム/キャラクターソング集というものは、原作からのメディアミックス展開の中で、ある一定のファン層(購買層)が見込める事を前提に、お金を稼ぐために作られます。もちろんその結果として良質な作品が出来る事もあります。
 けれどもこのアルバムは、「Sound Horizon」というバンド(幻想楽団)を主催している新進気鋭のアーティストRevo氏が、「GUNSLINGER GIRL」という作品に惚れ込み、また原作者の相田祐氏も相手の音楽に惚れて手を取ったという、非常に幸福な出会いによって企画されたアルバムなのです。

 というわけで、これは従来のイメージアルバム、キャラクターソングとしてはかなり異色です。

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「槇原敬之 "cELEBRATION"2005」:丁寧な人 [音楽]

 槇原敬之さんのコンサートに行って来ました。ちなみにライブなるものに行くのは初体験です。私は槇原さんに対しては、特に熱心なファンというわけでもないですが、嫌いでもないという程度です。個人的カテゴリ的にはドリカムなどと同じに入ります。歌唱力や声の魅力はあると思うし曲も手堅いと思うけど、私の好みからは少し王道すぎる、愛を正直に歌いすぎるって感じでしょうか。
 ともあれコンサート自体はとても楽しめました。オーケストラと二部からは合唱隊も参加して、とてもシンフォニックな音作り。まあ合唱隊は合唱というよりはダンサーとかパフォーマーという感じで、ポーズを付けたり手拍子をうったり、どこぞの大学の学生さんらしく学園祭ノリも微妙に入りつつ、コンサートを盛り上げておられました。

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「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」:私は名曲に出会ってしまった・・・ [音楽]

 私は今、とても金欠なのです。私が金欠なのは日常的なことですが、今回ばっかりはヤバイ。それというのも受験のために受験料を払ったからです。他にも塾費とかテキスト代とか書籍費とかを大量に注ぎ込んで、最後にこれ。ああなんでこんな苦労するために、こんな大金支払わねばならんのかッ。人生の無常さをしみじみと噛みしめている昨今です。
 そういうわけで、サンボマスターが先日発売した新曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を買うかどうかも、大変に悩んでいたのです。何せ現在手持ちにある最後の千円札を支払うかどうかという問題ですから、重要です。ちなみにもうそれで今月の予算は尽きます。私はあとどうやって来月まで生きていけばいいのか・・・貯金を崩すんですが。まあいいんですが。


 なので、買おうかどうしようかとても悩みながら、売場をうろついていたのです。ちなみにこの曲については、ドラマ版「電車男」の主題歌(エンディングテーマ)として知っていました。映画版が面白かったので、なんとなくドラマ版も見続けております。ちなみにドラマ版ですが、多少話を無理矢理に膨らませている部分が苦しいのと、いかにもTV版らしくチープに派手ではありますが、それなりに誠実に作られた面白い作品だと思います。主役の電車男、伊藤淳史さんの演技がとても上手くなおかつ共感を呼ぶのです。そしてなにより、エンディングロールが素晴らしい。

 まず夜の秋葉原駅の駅標(看板)が浮かび上がります。そして人気のないプラットホームをとぼとぼ歩く電車男。エルメスさんとの出会いとなった、電車の中の光景がフラッシュバックされます。それでも寂しそうに歩く電車男。しかし彼はふと立ち止まり、ホームの反対側を見ます。そこには何やら怪しげな、しかし楽しげなバンドの皆さんが。
 彼らは歌います。電車男は最初ぽかんとそれを見つめ、ついで心の底から嬉しそうに笑って段々とその曲にノっていきます。いつの間にかホームの反対側には、大勢の応援しているギャラリーもいます。バンドもノリノリです。ギターでボーカルの方など、ホームに寝そべって身をのたくらせ歌います。
 さらにいつの間にか、電車男もホームを渡り歌を歌う側に立っているのです。「あなたのために歌う」というサビの部分が流れながら、エルメスさんの美しい姿がフラッシュインされます。そして、最後にはみんなで電車男を胴上げして、モノトーンの色彩の街頭でエルメスさんと電車男が近づいて、最後のシャウト「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。・・・かっこいい。

 私はこのシングルを買おうと決意して、発売日の8月3日を待ちました。しかしその間に重大事件が、そう、受験料振り込みです。金がないっ、金がないっ、歌ってみても、金はないっ。
 というわけで、売場でCDを手に恨みがましくしばらく見つめた後(不審者)、一旦は建物を後にしました。しかし歩きながらふとこの歌のサビを口ずさんでいる自分に気が付いたのです。
 ・・・こりゃ、買うしかないなと思いました。そして買いました。家に帰ってきて、パソコンを立ち上げ、CDを投入。聞きました。聞き続けました。・・・昨日から今日で、少なくとも30回は聞いたと思います。もっとかもしれません。一曲5分として150分、二時間半。・・・もっと聞いているな(がくっ)。


 あのですね、CDの歌詞カードに「僕等の今回のシングルは あまりに最高だと思ったので 自らペンをとりました。」って書いてあるんですよ。それは本当ですよ。これは名曲ですよ。私、このブログではあまりにも名曲名曲ばっかり言ってますから信憑性ないかもしれませんが、他にボキャブラリィがないからです。怠慢です。許して下さい。
 まず名曲には二種類あると思うのです。普通に「普遍性を持ったいい曲」という意味での名曲と、「奇跡の曲」という意味での名曲。この歌は、後者です。

 私も稚拙ながら創作活動に関わったことがあるので、知っています。自分の全神経を注ぎ込んで(それは必ずしも集中している状態とは限らないのですが)、何かをゼロから創作しようとするとき、ふと天啓がひらめくことがあります。「神が降りてくる」と表現していました。
 それを書いている時は(私の場合は書くなんですが)、自分の腕が自分のものではないような気がします。もうとにかく何かに背中を押されるようにして、止められないヤバさでキーボードを叩くのです。この衝動は、作品が出来上がるまで自分を解放してくれません。何時間でも書き続けます。
 そうやって出来上がった作品は、なんというか、すごいんです。まず自分がこれを作ったとは信じられない。そしてもう二度とこれは作れないだろうなと思う。そういう境地です。
 この曲も多分、そうやって作られた曲なんだろうなと思うのです。

 私はこの曲を聴きながら、しみじみ泣けてきます。こんなにポップでロックなのに、歌詞は希望に満ちているのに、どうしてこんなに心揺さぶられるのか。とりあえずタイトルだけでご飯三杯はいけますね。「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。なんていい言葉なんでしょう。そして彼らは本気で歌っているのです。「それ」って何なのかを、分かりやすく美しい言葉で綴り、最後にびしっとタイトルの言葉でしめるのです。カッコイイとはこういうことです。
 途中のイントロも好きです。そしてふっと差し込まれる一言。シャウトされる一言。・・・泣けます。
 サビはノリノリです。電車男ならずとも、身を跳ねさせて聞きたくなります。ついでにカラオケで熱唱したくてたまりません。・・・今、お金ないのにッ。ふと現実に返りました。


 とりあえずですね、この時代に惜しげもなくはずかしげもなく、臆面もなく堂々と愛をシャウトするロック。それに少しでも興味を持った方は、ソニーミュージックのサイトに行って、試聴してみてください。ポップさに驚くのではないかと思います。
 そして興味を持ったら、210円払ってダウンロードしてみてはいかがでしょうか。210円の価値はあると思います、本当に。

 ちなみに今日のお昼までミュージッククリップの完全視聴配信もされていて、それを低レートながら見たのですが、こっちも最高でした。ドラマ「電車男」のエンディングロールが素晴らしかったので、あれを越えるなんて不可能なんじゃないかと思っていましたが、どうして。
 ストーリーはこうです。それぞれ現実に疲れ傷ついている人達の前に、サンボマスターが現れこの歌を歌う。・・・どれもこれも、「あなた達そこから出てくるかッ」という登場の仕方です。上記(もしくは下記)のサイトでビデオの試聴も出来ますが、これはちょっと説明がないと状況が分かりにくいかと思います。

 タクシーの運転手さんが、疲れたのかシートを後ろに倒してぼーっとしているんです。そうしたらいきなり後部座席にサンボマスターの三人が座っていて、座ってというか楽器のベースとギターとドラムまで付いているのですし詰め状態ですが、その状態で「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を運転手のお兄さんに歌い聞かせるのです。「あなた達それは無理だろ」というギチギチ状態で、ちゃんと演奏しようとしているところが素晴らしい。通りすがりの女の子の不審なというか、不思議なものを見る視線にも負けません。
 そして運転手のお兄さんは身体を起こし、タクシーはまた走り去って行きます。それを見送るサンボマスターの三人。「あなた達いつの間に降りたんだ」という。それでも楽器はちゃんと持っているのね、しかも演奏しながら見送っているのね、という。あなた達はミュージシャンの鑑です。
 このビデオクリップは105円で1週間視聴できますが、105円で一見する価値はあると思います。
 ・・・私が一つ不満なのは、1200円出してシングルを買ったんだから、このクリップくらい付けてくれてもよかったじゃないかッということだけです。

 でも後悔なんてしていませんよ、全然。はははー。昨日から今日だけで、もう1200円の元はとった気分です。だってこれだけ聞いて、今聞いてもなお「ああ、名曲だ」って感動するんですから。
 これは本当に名曲なのです。

サンボマスター オフィシャルサイト
ソニーミュージック公式ページ
オリコンスタイル:サンボマスター特集(コメント&PVあり)

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

  • アーティスト: サンボマスター, 山口隆
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/03
  • メディア: CD

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「ばらいろポップ」:お姫様とナイトたち [音楽]

 Coccoとくるりその他のメンバーが結成した新バンド、SINGER SONGERのアルバム「ばらいろポップ」を買ってしまいました。元々は、こんなに早く買う予定ではなかったのです。今月はちょっと細かい出費が多くて予算がきつくなってるし。いつか買おうとは思っていましたが。
 でも、シングル「初花凛々」の初回限定版に付いてきた、DVDの初花凛々ビデオクリップとレコーディング・オフショットを見てしまったらもー、ダメでした。
 今すぐ買わないとダメ。買わないとオトコがすたる。その勢いでTSUTAYAにゴー!・・・いや、私はオトコじゃないのですが。

 初花凛々のビデオクリップでですね、田舎を走るのんびりした二両編成の列車の少しレトロな車内の椅子に、無防備な姿で幸せそうに横たわっているCoccoを見た途端、思ったのですよ。「ああ・・・お姫様」って。
 ショートカットにした髪が新鮮で、でもとても可愛らしくて、しかも美人で。彼女の瞳と口はちょっとばかり普通よりも大きすぎるし、視線は独特だし、いわゆる典型的な整った顔の美人じゃない。だけど見つめていたら目を離せないという意味の美人では、間違いなくあると思います。くるくる変わる視線と表情、その美しさは捕らえどころが無く、瞳の色は黒くて深くて魔性的でもある。
 あの大きな瞳に見つめられたらフォーリンラブ、豊かな唇からつむぎだされる柔らかでのびやかな声。最後はこちら(カメラ)に向かって戸惑ったような、でも意味ありげな視線を向け、ふっくらした桜色の唇をそっと差し出してくるその姿に。ああ、お姫様ッ、私は今すぐ(アルバムを)買わせていただきます。私はあなたの下僕ですー。そう思ってしまったのです。これもまた、一つの敗北というものです。だけど何度繰り返してもいいタイプの。・・・たぶん。

 ま、このラストショットには綺麗なオチもついているんですけどね。誰もおまえらのそれは見たくねーという。・・・私、SINGER SONGERの男性陣に対してはちょっと遠慮がございません。というのもバンドくるりのお二方は、私の大学の先輩なのです。しかも在学中にデビューしたし、片方の方は確か学部まで一緒だし。正直、あんまり他人という感じがしない・・・。いえもちろん、大変尊敬申し上げているのですが。いつまでもあか抜けない兄ちゃんたちだな、ああいかにもうちの大学の人だなとも、ちょっと、思っています。


 Coccoが個人としての歌手活動を休止した時には、いろんな理由がささやかれました。私はあまりそういうワイドショー的興味は持たないようにしているので、詳しくは知りませんし知ろうとも思わないけれど、実のところ漏れ聞こえる情報からの判断で言えば、あまり彼女にだけ同情的というわけでもないのです。
 表現者にとって周囲との軋轢というのは本来あってしかるべきものだと思うのですね。そこまでコントロールしてこそ、表現者だろうと・・・。いや、まあ、部外者には計り知れない色々があったのだとは思いますが。そこで潰れてしまうということに関しては、可哀相だとは思いますが、敗北だなとも正直なところ思います。
 ですけど、今回彼女がこういう形で歌の世界に帰ってきてくれたことは、とてもいいことじゃないのかなという印象を持ちました。これもまた、「初花凛々」のDVDクリップを見て思ったことです。

 あのあか抜けない男性陣が、Coccoというお姫様を守るナイトたちにも見えたんです。
 ナイト(騎士)といっても、ジェダイの騎士とかそういう格好いいものじゃなくて、もっと田舎の小さな、例えば童話のいばら姫とかそんな世界の騎士のみなさんに。「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」で言えば、ゴンドールじゃなくてローハン。そういう感じでしょうか。
 元々うちの大学の男性陣はナイトには向いているのです。京都では三つの大学を指して「結婚するならK大、恋人にするならD大、鞄持ちにはR大(うちの大学)」という言葉があるくらいです。ヒドイ。でもそんなに外れていないことは、そこを卒業した私が保障します、はい。うちの大学の男性の皆さんは、どーにもあか抜けなくて、だけどのんびりおっとり気は優しくて力持ち(実力はある)、そういう方々なんですよ。
 だからきっと、繊細で優しいCoccoのことも、大切に守ってくれると思うのです。オフショットクリップを見てもそう思いました。Coccoの鋭い感性を、ふんわりぼんやり包んで守りながら、その内部でしっかり受けとめて音を育てていってくれそうな。本気になったら頭はいいんです、うちの大学の人たちは。

 実際にアルバムの音を聞いていても、その確信は変わりません。今はまだ買ったばかりですし、このアルバムがいいアルバムか、本当に評価を下すことは出来ないんですけど(私は音楽の評価には時間がかかるんです)、なんだかすごく可能性を感じるアルバムです。
 ジャケットには花の絵が使われていますけど、どちらかといえばまだつぼみの、これから花が開くという、そんな予感がしました。ゆっくりゆっくり、音を作っていければいいなと思います。
 Cocco個人はどちらかというと生き急ぎを感じる歌手で、それはそれで魅力的だったけど、やっぱり長続きはしないんじゃないかという予感は常にあって。だけどSINGER SONGERというユニットの中では、もっと柔らかく現実に着地していけばいいんじゃないかなと。


 私はCoccoの作る歌が好きです。それは歌詞の過激さまた過敏さや、反面音の持つポップさ、華やかさなど様々な方面から魅力を語ることが出来ますが、一番の魅力は実際に歌ってみることで分かるところにあるのではないかと思います。
 Coccoの作る歌は、歌ってとても気持ちがいいのです。音が伸びやかで歌詞が自然とそれに乗っていて、お腹から思いっきり息を吐いて、声帯を震わせ、口から舌の先へ、さらに鼻の奥までもを使って歌える、その感覚全てがとても心地がよい。もちろん私の力量ではCoccoほどには歌えず、従って魅力の全てを味わい尽くすことは出来ないんですが、これはいかにも歌を歌うことの楽しさを知っている人が作った曲だなと、いつもしみじみ思うのです。だから、大好きです。

 お姫様、この新しい世界でどうかあなたがいつまでも幸せに歌えますように。そしてナイトのみなさん、どうかそんなお姫様をいつまでもずっと大切に守ってあげてください。・・・お願いしますよ、先輩方。

http://www.singersonger.com/

初花凛々 (初回限定盤)

初花凛々 (初回限定盤)

  • アーティスト: SINGER SONGER, Cocco
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2005/05/25
  • メディア: CD

ばらいろポップ

ばらいろポップ

  • アーティスト: SINGER SONGER, Cocco, 岸田繁
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2005/06/29
  • メディア: CD


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