GUNSLINGER GIRL 5巻:通り抜ける悲しみ [漫画]
カテゴリー分類を作っていて、本については全然書いていないじゃないかと気付いたわけですが。
私にとって本というのは今も昔も一番の趣味であり、他の全てがなくてもこれと離れることだけは考えも付かないってくらいに好きなんですけど、あまりに日常的に傍にあるだけにかえって意識しないのです。映画を観たら「ああ今日は映画見に行ったなー」と思いますが、本読んでも「今日は本を読んだなー」とは意識しない。そういう問題です。
で、たまには何か書こうと今日買ってきた漫画、「GUNSLINGER GIRL」を。舞台は現代(近未来)のイタリア。病気や事故や事件に巻き込まれて、そのままの姿では生存できなくなった少女たちが義体という機械の身体(外見上はまったく人間と同じ)を与えられ、小さな手に大きな銃を握って政府のために戦う(戦わされる)、という物語です。敵はテロリストであったり、単に政府にとって都合の悪い人間であったり。ようするに汚れ仕事ですね。彼女たちはまた、反逆したりしないように薬によって条件付けも受けています。それは例えば二人一組で組む相手の担当官(大人の男性)に対して、愛情めいた感情を持つということだったりします。そんな暮らしの中で、それでも抱く小さな幸せの物語。
GUNSLINGER GIRLは絵が端正であっさりしています。しかし銃やナイフのディティールの細かさはそのまま作者の嗜好をうかがわせますし、絶対的な善も悪もない、むしろただひたすらに虚しい世界の中で、登場人物たちがそれぞれに抱えている優しさは救いであり、また時として残酷であったりします。ひどく陰惨な話なのに絶対的な敵役が出てこないところがさらに救いがなく、どこまでも切なくて哀しい。
そんな奇妙なお話です。あるいは童話といってもいいのかもしれません。ファンタジーでメルヘンチックな現代の童話。童話ってそもそも残酷なお話が多いですからね・・・。
この5巻では重要な登場人物たちが次々と倒れていき、話が大きく動きました。敵味方それぞれの優しい人達が、有って無いような理由のために殺し合い死んでいく。淡々とした筆致で描き出される悲しさは、何故かウェットにはならずに心を通り抜けていくのです。