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「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」:私は名曲に出会ってしまった・・・ [音楽]

 私は今、とても金欠なのです。私が金欠なのは日常的なことですが、今回ばっかりはヤバイ。それというのも受験のために受験料を払ったからです。他にも塾費とかテキスト代とか書籍費とかを大量に注ぎ込んで、最後にこれ。ああなんでこんな苦労するために、こんな大金支払わねばならんのかッ。人生の無常さをしみじみと噛みしめている昨今です。
 そういうわけで、サンボマスターが先日発売した新曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を買うかどうかも、大変に悩んでいたのです。何せ現在手持ちにある最後の千円札を支払うかどうかという問題ですから、重要です。ちなみにもうそれで今月の予算は尽きます。私はあとどうやって来月まで生きていけばいいのか・・・貯金を崩すんですが。まあいいんですが。


 なので、買おうかどうしようかとても悩みながら、売場をうろついていたのです。ちなみにこの曲については、ドラマ版「電車男」の主題歌(エンディングテーマ)として知っていました。映画版が面白かったので、なんとなくドラマ版も見続けております。ちなみにドラマ版ですが、多少話を無理矢理に膨らませている部分が苦しいのと、いかにもTV版らしくチープに派手ではありますが、それなりに誠実に作られた面白い作品だと思います。主役の電車男、伊藤淳史さんの演技がとても上手くなおかつ共感を呼ぶのです。そしてなにより、エンディングロールが素晴らしい。

 まず夜の秋葉原駅の駅標(看板)が浮かび上がります。そして人気のないプラットホームをとぼとぼ歩く電車男。エルメスさんとの出会いとなった、電車の中の光景がフラッシュバックされます。それでも寂しそうに歩く電車男。しかし彼はふと立ち止まり、ホームの反対側を見ます。そこには何やら怪しげな、しかし楽しげなバンドの皆さんが。
 彼らは歌います。電車男は最初ぽかんとそれを見つめ、ついで心の底から嬉しそうに笑って段々とその曲にノっていきます。いつの間にかホームの反対側には、大勢の応援しているギャラリーもいます。バンドもノリノリです。ギターでボーカルの方など、ホームに寝そべって身をのたくらせ歌います。
 さらにいつの間にか、電車男もホームを渡り歌を歌う側に立っているのです。「あなたのために歌う」というサビの部分が流れながら、エルメスさんの美しい姿がフラッシュインされます。そして、最後にはみんなで電車男を胴上げして、モノトーンの色彩の街頭でエルメスさんと電車男が近づいて、最後のシャウト「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。・・・かっこいい。

 私はこのシングルを買おうと決意して、発売日の8月3日を待ちました。しかしその間に重大事件が、そう、受験料振り込みです。金がないっ、金がないっ、歌ってみても、金はないっ。
 というわけで、売場でCDを手に恨みがましくしばらく見つめた後(不審者)、一旦は建物を後にしました。しかし歩きながらふとこの歌のサビを口ずさんでいる自分に気が付いたのです。
 ・・・こりゃ、買うしかないなと思いました。そして買いました。家に帰ってきて、パソコンを立ち上げ、CDを投入。聞きました。聞き続けました。・・・昨日から今日で、少なくとも30回は聞いたと思います。もっとかもしれません。一曲5分として150分、二時間半。・・・もっと聞いているな(がくっ)。


 あのですね、CDの歌詞カードに「僕等の今回のシングルは あまりに最高だと思ったので 自らペンをとりました。」って書いてあるんですよ。それは本当ですよ。これは名曲ですよ。私、このブログではあまりにも名曲名曲ばっかり言ってますから信憑性ないかもしれませんが、他にボキャブラリィがないからです。怠慢です。許して下さい。
 まず名曲には二種類あると思うのです。普通に「普遍性を持ったいい曲」という意味での名曲と、「奇跡の曲」という意味での名曲。この歌は、後者です。

 私も稚拙ながら創作活動に関わったことがあるので、知っています。自分の全神経を注ぎ込んで(それは必ずしも集中している状態とは限らないのですが)、何かをゼロから創作しようとするとき、ふと天啓がひらめくことがあります。「神が降りてくる」と表現していました。
 それを書いている時は(私の場合は書くなんですが)、自分の腕が自分のものではないような気がします。もうとにかく何かに背中を押されるようにして、止められないヤバさでキーボードを叩くのです。この衝動は、作品が出来上がるまで自分を解放してくれません。何時間でも書き続けます。
 そうやって出来上がった作品は、なんというか、すごいんです。まず自分がこれを作ったとは信じられない。そしてもう二度とこれは作れないだろうなと思う。そういう境地です。
 この曲も多分、そうやって作られた曲なんだろうなと思うのです。

 私はこの曲を聴きながら、しみじみ泣けてきます。こんなにポップでロックなのに、歌詞は希望に満ちているのに、どうしてこんなに心揺さぶられるのか。とりあえずタイトルだけでご飯三杯はいけますね。「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。なんていい言葉なんでしょう。そして彼らは本気で歌っているのです。「それ」って何なのかを、分かりやすく美しい言葉で綴り、最後にびしっとタイトルの言葉でしめるのです。カッコイイとはこういうことです。
 途中のイントロも好きです。そしてふっと差し込まれる一言。シャウトされる一言。・・・泣けます。
 サビはノリノリです。電車男ならずとも、身を跳ねさせて聞きたくなります。ついでにカラオケで熱唱したくてたまりません。・・・今、お金ないのにッ。ふと現実に返りました。


 とりあえずですね、この時代に惜しげもなくはずかしげもなく、臆面もなく堂々と愛をシャウトするロック。それに少しでも興味を持った方は、ソニーミュージックのサイトに行って、試聴してみてください。ポップさに驚くのではないかと思います。
 そして興味を持ったら、210円払ってダウンロードしてみてはいかがでしょうか。210円の価値はあると思います、本当に。

 ちなみに今日のお昼までミュージッククリップの完全視聴配信もされていて、それを低レートながら見たのですが、こっちも最高でした。ドラマ「電車男」のエンディングロールが素晴らしかったので、あれを越えるなんて不可能なんじゃないかと思っていましたが、どうして。
 ストーリーはこうです。それぞれ現実に疲れ傷ついている人達の前に、サンボマスターが現れこの歌を歌う。・・・どれもこれも、「あなた達そこから出てくるかッ」という登場の仕方です。上記(もしくは下記)のサイトでビデオの試聴も出来ますが、これはちょっと説明がないと状況が分かりにくいかと思います。

 タクシーの運転手さんが、疲れたのかシートを後ろに倒してぼーっとしているんです。そうしたらいきなり後部座席にサンボマスターの三人が座っていて、座ってというか楽器のベースとギターとドラムまで付いているのですし詰め状態ですが、その状態で「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を運転手のお兄さんに歌い聞かせるのです。「あなた達それは無理だろ」というギチギチ状態で、ちゃんと演奏しようとしているところが素晴らしい。通りすがりの女の子の不審なというか、不思議なものを見る視線にも負けません。
 そして運転手のお兄さんは身体を起こし、タクシーはまた走り去って行きます。それを見送るサンボマスターの三人。「あなた達いつの間に降りたんだ」という。それでも楽器はちゃんと持っているのね、しかも演奏しながら見送っているのね、という。あなた達はミュージシャンの鑑です。
 このビデオクリップは105円で1週間視聴できますが、105円で一見する価値はあると思います。
 ・・・私が一つ不満なのは、1200円出してシングルを買ったんだから、このクリップくらい付けてくれてもよかったじゃないかッということだけです。

 でも後悔なんてしていませんよ、全然。はははー。昨日から今日だけで、もう1200円の元はとった気分です。だってこれだけ聞いて、今聞いてもなお「ああ、名曲だ」って感動するんですから。
 これは本当に名曲なのです。

サンボマスター オフィシャルサイト
ソニーミュージック公式ページ
オリコンスタイル:サンボマスター特集(コメント&PVあり)

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ

  • アーティスト: サンボマスター, 山口隆
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2005/08/03
  • メディア: CD

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